『人外境の花嫁」 十.暗黒の救済者(十二)
『人外境の花嫁』
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十.暗黒の救済者 (十二)
降矢木は四人の男達を見回した。
「そのためには、生まれて来る後継者が誰の子かわかってはならないのです」
普通ならば最初の射精者になるために、我先にと乱交以前の争いが生じるはずである。
ところが儀式は粛々と行われた。
「おそらく四人が喧嘩にならないように、あなたは事前にゴードン・ギャラップ博士の実験結果でも密かに教えていたのでしょう」
男性器の亀頭が膨らんでいるのは、前に射精した男の精液を掻き出すために進化した。
90%もの残液を膣から取り除くことが可能であると言う。
一夫一婦制が確立する以前の原始乱交時代、子孫を残せたのは、必ずしも最初に交接した者ではなかったのだ。
「DNA鑑定が進歩した時代でも、子供の父親が誰だかは未だに不確実な問題なのです」
夫婦間の信頼を壊さないため、自分の子供をDNA鑑定することはない。
つまり子供の父親は男にとって永遠の疑惑なのである。
「子は鎹。四人が父親である可能性こそが教団分裂を救う奇策だったわけですね」
乱裁は微動だにせず、降矢木の推論を聞いている。
「結局、あなたは実の娘である藤野さんも、あなたの右腕だった四人の男も、ここにいる百人の幹部達も信用できなかったわけです」
乱裁は天神会の秘密を守るため、乱裁は忠誠心ではなく、生物の性本能によって信者を支配しようとしていたのだ。
そしてまだ存在しない故に信用できる唯一の血縁者である孫へ、絶対王国となった天神会を譲ろうとしたのだ。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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