『妻は官能小説家』・・・最終章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第二十九章
雄士の頭は混乱した。
あたかも自分が浮気しているような文章を読ませて、美佳にどんな意味があると言うのだ。
暗闇に青白い雷光が明滅するように、雄士の脳裏をある言葉が過ぎった。
『そりゃ、男として認められたいからだよ』
ゲラを勝手に校正した時の編集長の言葉が蘇った。
美佳は雄士の胸に顔を擦りつけて泣いた。
「わざと主人公を自分に似せて書いたの。あなたを嫉妬させたくて・・私に嫉妬して欲しかったの・・だ、だって、あなたは私を女として扱ってくれないから・・私だって・・お、女として愛されたい・・」
美佳は浮気した文章を雄士に読ませることで、自分がまだ女であることを認めさせたかったのだ。
「そうだったのか・・」
涙声で心情を吐露した美佳の体を雄士はそっと抱いた。
怒りは空回りして萎え、安堵に全身の力が抜けていくようだった。
雄士は照れ隠しで美佳に尋ねた。
「し、しかしだ・・どうしてタイトルがクリスマスローズなんだ? 小説の内容に全くそぐわないだろう?」
「それは・・花言葉。クリスマスローズの花言葉は、私の心を慰めてと言うの・・」
俯き加減な白い花を見つめて、美佳は恥かしそうに呟いた。
雄士はがっくりと項垂れた。
「俺は編集者失格だな」
作者が仕掛けたトリックに、雄士はまんまと引っ掛けられたのだ。
しかもタイトルに隠された美佳の真意にも、全く気づくことができなかった。
「そ、そんなことないわ。私の小説は子供の作文みたいなものだし・・」
美佳は慰めたつもりらしいが、自己嫌悪の刃はぐさりと心に突き刺さった。
雄士は美佳のパジャマを捲り上げた。
むっちりした乳房を閉じ込めているブラを剥ぎ取った。
「あっ、いやん」
「くそっ、今夜は小説通りに可愛がってやるからな」
すでに呼吸を荒げている美佳にそう告げると、雄士はゼリーのように震える乳房へ吸いついた。
――閉幕――
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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