『妻は官能小説家』・・・第二十八章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第二十八章
リビングに美佳が現れた。
「あなた、どうしたの?」
ソファに座った雄士の前に、パジャマ姿の美佳は怪訝な顔で立ちすくんだ。
「ふざけるな。お前は俺に隠れて浮気をしているだろう」
驚いた表情で美佳は首を振った。
「そ、そんなこと・・私、していません」
「ならばパソコンに隠している小説は、一体誰が書いたんだ」
「・・私です」
美佳は瞳を伏せた。
視線の先には、テーブルに置かれたクリスマスローズが、白く可憐な花を俯き加減に咲かせていた。
雄士は震える指で煙草をくわえた。
「浮気をしていなければ、こんな性描写を書けるわけがないだろう」
「それは・・雑誌やインターネットで調べたの・・」
「嘘をつけ。あんな細密な描写は経験がなければ書けるはずがない」
「ほ、本当です・・今はそんな主婦向けの・・」
苛立った雄士は、抗う美佳をソファに押し倒した。
「言い訳は必要ない。これが動かぬ証拠だ」
「い、いやっ」
雄士は、力任せに美佳のパンツをショーツごとずり下げた。
網膜に黒い影が映った。
「・・う、嘘だ」
下腹部には、剃毛されたはずの翳りがそよいでいた。
唖然とする雄士の胸に美佳がしがみついてきた。
「ごめんなさい。わ、私、あなたを騙していたの」
「騙していた?」
「ええ・・あなたが私の書いた小説を読むように、わざと帰宅した時にパソコンの前に座って、投稿小説サイトやファイルの履歴を残しておいたの」
「・・俺に読ませるため?」
つづく・・・
※ お知らせ ※
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