『あやかしの肌』・・・第二十三章
『あやかしの肌』
第二十三章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
細かいことを咎める盛吉ではない。
だが住み込みの部屋にも戻らず、放蕩する辰二に堪忍袋の緒を切らせたのだろう。
「おいタツ、美千代は海千山千だ。お前みたいな素人じゃ、いいように血を吸われて捨てられるだけだぞ」
「・・・・」
「目を覚ませ、タツ。せっかくここまで修行してきたんだ。俺が立派な風呂屋の主人にしてやる。しっかり者の嫁さんだって見つけてやる」
盛吉は目に涙を浮かべて、辰二の肩を激しく揺すった。
母とは幼い頃に生き別れ、父は辰二が出征中に山で事故死した。
兵隊から戻ってきた辰二を、知辺ない東京で面倒看てくれたのは盛吉だった。
親代わりでもある盛吉の温情が心に沁み入った。
「銭湯の主人になるか、美千代の情夫になるのか、はっきりしろいっ!」
黙りこくった辰二に、盛吉は厳しい口調で改悛を迫った。
大恩ある盛吉を裏切りたくはなかった。
だが美千代の肌は、すでに辰二の体と融け合っていた。
わざと辰二は毒づいた。
「・・ふん、世は高度成長だ。銭湯なんて時代遅れなんだよ。そんな未来のない商売はこっちから御免蒙るさ」
ぶるぶると拳を握り締める盛吉に、辰二はふうっとタバコの煙を吹きかけた。
「タ、タツ、お前・・今のお前は正気じゃない。親父が女狐に騙されたように、お前も一時の欲情で美千代に血迷っているんだぞ」
「親父が母さんに騙された?」
「そうだ、お前の親父は女房に裏切られて自殺したんだ」
つづく・・・
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細かいことを咎める盛吉ではない。
だが住み込みの部屋にも戻らず、放蕩する辰二に堪忍袋の緒を切らせたのだろう。
「おいタツ、美千代は海千山千だ。お前みたいな素人じゃ、いいように血を吸われて捨てられるだけだぞ」
「・・・・」
「目を覚ませ、タツ。せっかくここまで修行してきたんだ。俺が立派な風呂屋の主人にしてやる。しっかり者の嫁さんだって見つけてやる」
盛吉は目に涙を浮かべて、辰二の肩を激しく揺すった。
母とは幼い頃に生き別れ、父は辰二が出征中に山で事故死した。
兵隊から戻ってきた辰二を、知辺ない東京で面倒看てくれたのは盛吉だった。
親代わりでもある盛吉の温情が心に沁み入った。
「銭湯の主人になるか、美千代の情夫になるのか、はっきりしろいっ!」
黙りこくった辰二に、盛吉は厳しい口調で改悛を迫った。
大恩ある盛吉を裏切りたくはなかった。
だが美千代の肌は、すでに辰二の体と融け合っていた。
わざと辰二は毒づいた。
「・・ふん、世は高度成長だ。銭湯なんて時代遅れなんだよ。そんな未来のない商売はこっちから御免蒙るさ」
ぶるぶると拳を握り締める盛吉に、辰二はふうっとタバコの煙を吹きかけた。
「タ、タツ、お前・・今のお前は正気じゃない。親父が女狐に騙されたように、お前も一時の欲情で美千代に血迷っているんだぞ」
「親父が母さんに騙された?」
「そうだ、お前の親父は女房に裏切られて自殺したんだ」
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