『愛憎の流砂』・・・第二十六章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第二十六章
夏を感じさせる明るい青空から、目映い陽射しが燦々と降り注いでくる。
風もなく穏やかな海は、白い波間に空の青を映して、遥か遠い水平線へとなだらかに続いている。
初夏を迎えた九十九里浜。
まだ海水浴客の姿がない砂浜には、薄桃色の花をつけたハマヒルガオが群生している。
美幸は砂に足をとられながら、愛美の手を引いて砂の丘に立った。
(高校を卒業して以来、十六年ぶりに海へ帰ってきたのね)
果てしなく続く汀を眼下に、美幸は感慨深く心中で呟いた。
「ママ、靴にお砂が入っちゃった」
「はいはい、ママに抱っこしなさい」
愛美を抱いた美幸は、小さな靴を拾って細かい砂を落としてやった。
美幸は正彦と離婚した。
残業や休日出勤が増えた美幸を疑い、正彦が探偵社に浮気調査を依頼したのだった。
青砥とつきあって一年が経っていた。
青砥とホテルに入る写真を見せて、責めるどころか、今後この男と会わないと約束すれば許すと言った。
美幸には正彦の心が透けて見えた。
表向きは愛美のためだと言ったが、妻の浮気で離婚されたとあっては、銀行での出世に影響があると考えたのだろう。
正彦にとって美幸は、円満な家庭を演出する家具調度に過ぎなかったのだ。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
★『降矢木士朗・紅殻格子 メディア掲載作品&携帯小説配信サイト』紹介はこちらです★
『妄想の囲炉裏端』]掲示板入り口
官能小説ランキングに参加しています。
皆様から頂くクリック↓数が書く励みとなります。
応援、宜しくお願いいたしますm(__)m
にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)
FC2 官能小説
人気ブログランキング~愛と性~
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第二十六章
夏を感じさせる明るい青空から、目映い陽射しが燦々と降り注いでくる。
風もなく穏やかな海は、白い波間に空の青を映して、遥か遠い水平線へとなだらかに続いている。
初夏を迎えた九十九里浜。
まだ海水浴客の姿がない砂浜には、薄桃色の花をつけたハマヒルガオが群生している。
美幸は砂に足をとられながら、愛美の手を引いて砂の丘に立った。
(高校を卒業して以来、十六年ぶりに海へ帰ってきたのね)
果てしなく続く汀を眼下に、美幸は感慨深く心中で呟いた。
「ママ、靴にお砂が入っちゃった」
「はいはい、ママに抱っこしなさい」
愛美を抱いた美幸は、小さな靴を拾って細かい砂を落としてやった。
美幸は正彦と離婚した。
残業や休日出勤が増えた美幸を疑い、正彦が探偵社に浮気調査を依頼したのだった。
青砥とつきあって一年が経っていた。
青砥とホテルに入る写真を見せて、責めるどころか、今後この男と会わないと約束すれば許すと言った。
美幸には正彦の心が透けて見えた。
表向きは愛美のためだと言ったが、妻の浮気で離婚されたとあっては、銀行での出世に影響があると考えたのだろう。
正彦にとって美幸は、円満な家庭を演出する家具調度に過ぎなかったのだ。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
★『降矢木士朗・紅殻格子 メディア掲載作品&携帯小説配信サイト』紹介はこちらです★
『妄想の囲炉裏端』]掲示板入り口
官能小説ランキングに参加しています。
皆様から頂くクリック↓数が書く励みとなります。
応援、宜しくお願いいたしますm(__)m
にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)
FC2 官能小説
人気ブログランキング~愛と性~