「肉形見」 第二十二章・・・(紅殻格子)
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「肉形見」
二十二・
酔いを醒ました武彦と由紀が車で家に戻った時、もう時計は十時を回っていた。
武彦は自分の部屋で、寝転がって高い天井をぼんやり眺めていた。
泰治と絹江は集落の忘年会旅行に出かけ、
由紀はすでに寝室に引き取り、家中がしんと静まり返っていた。
武彦は自己嫌悪の余り、煩悶して寝付かれずにいた。
天井の節目模様が兄の顔や兄嫁の顔に見えたりした。
それも兄の顔は死ぬ間際の痩せ衰えた顔であり、
兄嫁の顔は浴場での女の顔だった。
突然、武彦の携帯が静寂を破った。
「武彦かい?」
電話をかけてきたのは絹江だった。
「どうしたの、こんな夜中に。親父の具合でも悪いのか?」
「父ちゃんはすっかり酔っ払って、もう高いびきだよ。
それより母ちゃんは心配で眠れなくてね。
台所のガス栓を閉めて出てきたか気になってよ」
武彦は拍子抜けした。
几帳面な絹江らしい電話である。
しかも家の電話ではなく、わざわざ携帯にかけてくるのである。
「わかったよ。すぐ調べるから安心して早く寝なよ」
武彦は電話を切ると、仕方なく台所に向かった。
ガスの元栓が閉まっているのを確かめて部屋に戻ろうとした時、
武彦の部屋とは反対側の廊下が薄明るいのに気づいた。
見ると兄嫁の寝室から障子越しの明かりが漏れている。
(義姉さんはまだ起きているのか)
武彦は抑えきれない好奇心に動かされて、
そっと摺り足で兄夫婦の寝室に忍び寄った。
「う・・・ううん・・・」
障子の向こうから、女のくぐもった切ない喘ぎ声が聞こえる。
武彦はぞくぞくと背筋に電流が走るのを感じた。
(義姉さんの声だ)
武彦はごくりと生唾を飲み込んだ。
そして障子を僅かに開き、隙間から中を覗いた。
つづく・・・
[妄想の囲炉裏端]
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泰治と絹江は集落の忘年会旅行に出かけ、
由紀はすでに寝室に引き取り、家中がしんと静まり返っていた。
武彦は自己嫌悪の余り、煩悶して寝付かれずにいた。
天井の節目模様が兄の顔や兄嫁の顔に見えたりした。
それも兄の顔は死ぬ間際の痩せ衰えた顔であり、
兄嫁の顔は浴場での女の顔だった。
突然、武彦の携帯が静寂を破った。
「武彦かい?」
電話をかけてきたのは絹江だった。
「どうしたの、こんな夜中に。親父の具合でも悪いのか?」
「父ちゃんはすっかり酔っ払って、もう高いびきだよ。
それより母ちゃんは心配で眠れなくてね。
台所のガス栓を閉めて出てきたか気になってよ」
武彦は拍子抜けした。
几帳面な絹江らしい電話である。
しかも家の電話ではなく、わざわざ携帯にかけてくるのである。
「わかったよ。すぐ調べるから安心して早く寝なよ」
武彦は電話を切ると、仕方なく台所に向かった。
ガスの元栓が閉まっているのを確かめて部屋に戻ろうとした時、
武彦の部屋とは反対側の廊下が薄明るいのに気づいた。
見ると兄嫁の寝室から障子越しの明かりが漏れている。
(義姉さんはまだ起きているのか)
武彦は抑えきれない好奇心に動かされて、
そっと摺り足で兄夫婦の寝室に忍び寄った。
「う・・・ううん・・・」
障子の向こうから、女のくぐもった切ない喘ぎ声が聞こえる。
武彦はぞくぞくと背筋に電流が走るのを感じた。
(義姉さんの声だ)
武彦はごくりと生唾を飲み込んだ。
そして障子を僅かに開き、隙間から中を覗いた。
つづく・・・
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