「肉形見」第十章・・・(紅殻格子)
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「肉形見」
十.
武彦は墓に手を合わせる由紀に聞いた。
「義姉さん、兄貴が死んでもう二年になるけど、
このまま家にいたら、いい再婚話も来ないじゃないかな?」
由紀は武彦に愁いに満ちた瞳を向けた。
「寂しいことを言わないで、武彦さん。
うちの実家は弟が結婚して跡を継いでいるの。
今更私に帰る場所なんてないのよ。 それを出て行けなんて・・・」
「いや、出て行けなんて言ってないよ。ただ義姉さんは若くて綺麗だし、
まだ先の長い人生をこのまま独りで過ごすなんて・・・」
「武彦さんはまだ結婚してないからわからないでしょうけど、
一度築き上げた生活を変えるのはそんなに簡単じゃないわ。
夫と死に別れた女は再婚しなければ幸せになれないなんて寂し過ぎる。
智彦さんと結婚したご縁で、お義父さんとお義母さん、
それに武彦さんとも家族になれたの。
私、平尾家の人間になってとても嬉しかった。
智彦さんは亡くなったけど、その思い出の残る平尾の家で、
家族と一緒にいられるだけで私は幸せなのよ」
武彦は控え目で大人しい由紀が、
実は芯の強い女性であることを改めて知らされた。
「でもね、いつか武彦さんがお嫁さんを連れて帰って来るでしょ?
その時までにはいい男性を見つけるから心配しないで」
由紀は墓石の横に植えてある柘植の雪を手で掃いながら、
冗談めかして言った。
だが、瞳は迷子の子犬のようにどこか怯えた悲しみに溢れていた。
つづく・・・
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「寂しいことを言わないで、武彦さん。
うちの実家は弟が結婚して跡を継いでいるの。
今更私に帰る場所なんてないのよ。 それを出て行けなんて・・・」
「いや、出て行けなんて言ってないよ。ただ義姉さんは若くて綺麗だし、
まだ先の長い人生をこのまま独りで過ごすなんて・・・」
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一度築き上げた生活を変えるのはそんなに簡単じゃないわ。
夫と死に別れた女は再婚しなければ幸せになれないなんて寂し過ぎる。
智彦さんと結婚したご縁で、お義父さんとお義母さん、
それに武彦さんとも家族になれたの。
私、平尾家の人間になってとても嬉しかった。
智彦さんは亡くなったけど、その思い出の残る平尾の家で、
家族と一緒にいられるだけで私は幸せなのよ」
武彦は控え目で大人しい由紀が、
実は芯の強い女性であることを改めて知らされた。
「でもね、いつか武彦さんがお嫁さんを連れて帰って来るでしょ?
その時までにはいい男性を見つけるから心配しないで」
由紀は墓石の横に植えてある柘植の雪を手で掃いながら、
冗談めかして言った。
だが、瞳は迷子の子犬のようにどこか怯えた悲しみに溢れていた。
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