小説「内助の功」第十三章・・・(紅殻格子)
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「内助の功」 紅殻格子
十三
その時。 「裕一君!」
「は、はいっ!」
パブロフの犬のように、聞き慣れた声に条件反射で裕一は返事をした。
社長が裸で飛び出してきたクローゼットから、今度は早紀が現れた。
「い、いや・・そんな馬鹿な・・」
裕一はじりじりと後退りする。
「浮気の現場をじっくり拝見させてもらったわよ。
ふ~ん、オッパイはでかけりゃいいってもんでもない、ですって?」
完全に退路は断たれた。
裕一は平手打ちの応酬に備え、目を瞑って歯を食い縛った。
ところが意外なことに、早紀は裕一をベッドに押し倒すと、
萎え切った肉茎に得意の強烈フェラを施し始めた。
「一体どうなっているんだ?」
裕一の頭は混乱の極みに達していた。
隣で繰り広げられる社長夫婦の痴態。
浮気現場へ踏み込んだのに激怒しない妻。
裕一は精神錯乱の一歩手前だった。
「説明は後でしてあげる・・
んん、でも裕一君が私を裏切ったことだけは事実よ」
「・・ごめん」
「浮気したのは許せないけど、今回だけは大目に見てあげるわ」
肩透かしを食った裕一だが、そんな早紀の態度が却って空恐ろしかった。
早紀は服を脱ぎ捨てると、ベッドの上へ裕一を仰向けに押し倒した。
「隣でセックスしているのを見ていたら、すごく興奮してきちゃった。
ねえ、私達も始めましょう?」
「あ、ああ」
それは裕一も同じだった。
人の房事を覗き見るのは、いかに不安な精神状態でも、
性欲を強く掻き立てるものらしい。
(ままよ)
事情はどうあれ、今は裕一も自分の性欲を満たすことで頭がいっぱいだった。
裕一は、早紀を美紀の隣で四つん這いにさせると、
その豊かなヒップを鷲づかみにして背後から犯した。
ベッドが激しく揺れる。
「ああ、裕一君、気持ちいい」
「パパ、美紀も狂っちゃう」
二頭立ての暴れ馬を、社長と裕一が並んで御している格好になった。
息を荒げた社長が尋ねてきた。
「君。どうだったかね、家内の体は?」
「も、申し訳ありません。つい奥様の美しい体に惑わされまして・・」
「いや、いいんだよ。わしもクローゼットの中で、
君の奥さんに凄い口奉仕をしてもらったからな」
「え?」
絶句する裕一に早紀が振り向いた。
「ああん・・だって裕一君が浮気するのを、
指をくわえて見ていられなかったの・・だからつい・・社長さんのアソコを」
「く、くわえたのか?」
裕一は呆気にとられた。それでクローゼットから現れた社長が裸だったのだ。
「ごめんなさい。我慢できなかったのよ。でもこれでお互い様でしょ・・ああっ・・」
岩井社長は裕一の肩を叩いて大笑した。
「わっははは・・奥さんの言う通りだ。お互い様、お互い様!」
そして二組の夫婦は、お互いのセックスを見せ合いながら、
シーツが汗と淫蜜でびしょびしょになるまで、
何度も絶頂の波を交互に迎え合ったのだった。
つづく・・・