『人外境の花嫁』九.秘蹟の祭祀者(三)
『人外境の花嫁』
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九.秘蹟の祭祀者 (三)
月絵と畠山は、後ろ手に手錠をかけられたまま、菜穂に導かれて大聖天堂に足を踏み入れた。
「ここに控えていなさい」
大聖天堂が俯瞰できる扉の近くで、菜穂は月絵の頭を押さえつけて無理矢理座らせた。
「月絵ちゃん、大丈夫かい?」
同じく子猿に正座させられた隣の畠山が、月絵から顔を背けながら小声で聞いた。
「はい・・畠山さんは?」
畠山もすでに着衣を剥ぎ取られ、全裸のまま後ろ手に手錠をかけられている。
「うん。これから何が起こるかわからないけど、絶対に諦めたら駄目だよ」
「わかっています・・でも私の我が儘で畠山さんにまで迷惑を・・」
「気にしないで・・きっとあの人は何かを考えているはずだ・・希望は絶対に捨てないようにしよう」
「・・はい」
降矢木はこの建物の近くに潜んでいるはずである。
月絵と畠山を助けようと知恵を絞ってくれているに違いない。
あれほど頭脳明晰な降矢木が、暴力以外で菜穂や子猿の術中に嵌るとは考えにくい。
菜穂が月絵の尻を軽く蹴った。
「静かにしろ。これから歓喜天浴油祈祷が始まる」
「乱裁とは逢えるの?」
「教祖様はお前の父親を知っておられた。儀式が終わったらお会い下さるそうだ。お前達の処遇については、その時教祖様が決められるだろうさ」
「乱裁が許せば帰れるんですね?」
「愚かな女だ。教祖様は儀式にお前達が加わることを許された。つまり素直に天神会の信者となれば、命だけは助けるというお慈悲だと思え」
菜穂はそう答えると、月絵と畠山に猿轡を噛ませた。
つづく…
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「ここに控えていなさい」
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「月絵ちゃん、大丈夫かい?」
同じく子猿に正座させられた隣の畠山が、月絵から顔を背けながら小声で聞いた。
「はい・・畠山さんは?」
畠山もすでに着衣を剥ぎ取られ、全裸のまま後ろ手に手錠をかけられている。
「うん。これから何が起こるかわからないけど、絶対に諦めたら駄目だよ」
「わかっています・・でも私の我が儘で畠山さんにまで迷惑を・・」
「気にしないで・・きっとあの人は何かを考えているはずだ・・希望は絶対に捨てないようにしよう」
「・・はい」
降矢木はこの建物の近くに潜んでいるはずである。
月絵と畠山を助けようと知恵を絞ってくれているに違いない。
あれほど頭脳明晰な降矢木が、暴力以外で菜穂や子猿の術中に嵌るとは考えにくい。
菜穂が月絵の尻を軽く蹴った。
「静かにしろ。これから歓喜天浴油祈祷が始まる」
「乱裁とは逢えるの?」
「教祖様はお前の父親を知っておられた。儀式が終わったらお会い下さるそうだ。お前達の処遇については、その時教祖様が決められるだろうさ」
「乱裁が許せば帰れるんですね?」
「愚かな女だ。教祖様は儀式にお前達が加わることを許された。つまり素直に天神会の信者となれば、命だけは助けるというお慈悲だと思え」
菜穂はそう答えると、月絵と畠山に猿轡を噛ませた。
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