『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(四)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (四)
麻美のマンションは、動物園がある野毛山の中腹に建っていた。
「降矢木君、この部屋だ」
秋月は管理人から借りた鍵でドアを開けると、降矢木と月絵を導き入れた。
玄関のシューズボックスが開いて、色取り取りのブーツやパンプスが散乱している。
「おや?」
降矢木はその片隅から何かを拾い上げた。
「先生、それは印鑑じゃないですか?」
月絵がキャップを開けて、藤野と書かれた
印章を確認した。
「うん、部屋の中が荒らされていないことを考えると、藤野さんは宅急便を装った何者かに連れ攫われたんだろうなあ」
「何故麻美が・・一介のソープ嬢を誘拐するなど、ストーカーとか言う奴等の仕業なのかね?」
秋月は悔しげな表情で腕を組んだ。
「いえ、ストーカーは卑劣で一方的な求愛好意であって、徒党を組まず単独犯であることが多いのです。人目につかずマンションの五階から藤野さんを拉致するには、複数の実行犯が必要になるかと考えます」
「なるほど」
「ですからこれは二人以上の男が絡んだ犯罪です。おそらく宅急便と称して、大きなダンボール箱を持ち込み、気を失った藤野さんを中に入れて連れ去ったのでしょう」
現場に来て三分も経たぬ間に、降矢木は麻美が連れ去られた状況を解き明かした。
月絵は舌を巻いた。
(一体先生の頭の中は・・)
普段はどうしようもないスケベ男だが、その頭の中は月絵の想像もつかない思考が渦巻いているだろう。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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玄関のシューズボックスが開いて、色取り取りのブーツやパンプスが散乱している。
「おや?」
降矢木はその片隅から何かを拾い上げた。
「先生、それは印鑑じゃないですか?」
月絵がキャップを開けて、藤野と書かれた
印章を確認した。
「うん、部屋の中が荒らされていないことを考えると、藤野さんは宅急便を装った何者かに連れ攫われたんだろうなあ」
「何故麻美が・・一介のソープ嬢を誘拐するなど、ストーカーとか言う奴等の仕業なのかね?」
秋月は悔しげな表情で腕を組んだ。
「いえ、ストーカーは卑劣で一方的な求愛好意であって、徒党を組まず単独犯であることが多いのです。人目につかずマンションの五階から藤野さんを拉致するには、複数の実行犯が必要になるかと考えます」
「なるほど」
「ですからこれは二人以上の男が絡んだ犯罪です。おそらく宅急便と称して、大きなダンボール箱を持ち込み、気を失った藤野さんを中に入れて連れ去ったのでしょう」
現場に来て三分も経たぬ間に、降矢木は麻美が連れ去られた状況を解き明かした。
月絵は舌を巻いた。
(一体先生の頭の中は・・)
普段はどうしようもないスケベ男だが、その頭の中は月絵の想像もつかない思考が渦巻いているだろう。
つづく…
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