『人外境の花嫁』三.青楼街の偏執狂(十四)
『人外境の花嫁』
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三.青楼街の偏執狂 (十四)
月絵は思う。
(先生の頭はどうなっているのかしら?)
手品師が万国旗をするすると口から出すように、降矢木の博学は止まるところを知らずに溢れ出す。
降矢木は続ける。
「つい近年まであった嬥歌会の名残が盆踊りだよ」
かつて盆踊りは、農村社会において乱交の場であったと言われている。
それは閉鎖的な社会のガス抜きであり、共同体の結束を強める性の饗宴だった。
野外乱交である。
未婚の男女達はもちろん、この時ばかりは夫も妻も、隣家の夫婦と夜を徹して性に溺れたのだろう。
明治大正時代になると、風紀を乱すと言うことで、盆踊り禁止令が出たのだから間違いない。
ここで降矢木は真顔で畠山に問いかけた。
「更に傍証を生物学的に加えるなら、人間のオスについている生殖器は、何故先端が膨らんだ形になっていると思う?」
「はあっ?」
畠山は細い目を倍ほどに見開いた。
「月絵君はわかるかね?」
「し、知りません。そんなもの見たことがあるわけないじゃないですか!」
不躾な降矢木の質問に、月絵は耳まで真っ赤にして怒った。だが降矢木は月絵が逆上する理由がわからないようだった。
「ん、そうか・・だが物の形にはそれなりの意味があるのだ。今度彼氏に逢ったら、じっくりと観察してみた方がいい」
「んもうっ、彼氏なんかいません。先生なんか大っ嫌いっ!」
月絵はぷんと頬を膨らませると、腹いせに隣にいた畠山のふくらはぎを蹴飛ばした。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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月絵は思う。
(先生の頭はどうなっているのかしら?)
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降矢木は続ける。
「つい近年まであった嬥歌会の名残が盆踊りだよ」
かつて盆踊りは、農村社会において乱交の場であったと言われている。
それは閉鎖的な社会のガス抜きであり、共同体の結束を強める性の饗宴だった。
野外乱交である。
未婚の男女達はもちろん、この時ばかりは夫も妻も、隣家の夫婦と夜を徹して性に溺れたのだろう。
明治大正時代になると、風紀を乱すと言うことで、盆踊り禁止令が出たのだから間違いない。
ここで降矢木は真顔で畠山に問いかけた。
「更に傍証を生物学的に加えるなら、人間のオスについている生殖器は、何故先端が膨らんだ形になっていると思う?」
「はあっ?」
畠山は細い目を倍ほどに見開いた。
「月絵君はわかるかね?」
「し、知りません。そんなもの見たことがあるわけないじゃないですか!」
不躾な降矢木の質問に、月絵は耳まで真っ赤にして怒った。だが降矢木は月絵が逆上する理由がわからないようだった。
「ん、そうか・・だが物の形にはそれなりの意味があるのだ。今度彼氏に逢ったら、じっくりと観察してみた方がいい」
「んもうっ、彼氏なんかいません。先生なんか大っ嫌いっ!」
月絵はぷんと頬を膨らませると、腹いせに隣にいた畠山のふくらはぎを蹴飛ばした。
つづく…
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