『人外境の花嫁』三.青楼街の偏執狂(十)
『人外境の花嫁』
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三.青楼街の偏執狂 (十)
月絵は首を傾げた。
まだ男性経験こそないが、女友達の間では「耳年増の月絵」で通っていた。
それは幼い頃から、風俗店の並ぶ裏路地が遊び場だったからである。
むろん店の中で男と女が何をしているかまではわからなかったが、派手な看板に書かれた風俗用語や、裏路地を歩く女達のふしだらさは今も鮮明に覚えている。だが早熟な月絵も、さすがに乱交の看板を掲げる風俗店は記憶になかった。
女性雑誌のおかげで、性行為の意味は高校時代に勉強したものの、乱交について月絵は何の知識も持ち合わせていなかった。
「畠山さん、乱交ってどういうこと?」
「あ、いや・・ちょっとわからないなあ」
円らな黒い瞳で尋ねられた畠山の方が、却ってドギマギして口ごもった。
降矢木は二人を無視して続けた。
「風俗は男と女の一対一が基本となってきました。だが最近、あるジャンルの風俗がクローズアップされています」
「降矢木君、それはハプバーのことを言っているのかね?」
秋月は疑心暗鬼な表情で降矢木の顔色を窺った。
ハプバーへ行ったことがあるかと月絵が聞くと、また畠山は頬が千切れんばかりに首を横に振った。
「つ、つ、月絵ちゃん、僕はハプバーのハの字もわからないよ」
「あら、私だってハプバーぐらい知っていますよ。野毛二丁目にあるお店でしょう?」
おやっと意外そうな顔で降矢木が月絵を見た。
「ほう、月絵君はハプバーへ行ったことがあるのかね?」
「ううん、うちの若い者が話していたの。でも何のお店かしら・・バーだから飲み屋さんだろうけど、ハプって・・沖縄のハブを漬けた泡盛を飲ませるのかしら?」
降矢木と秋月は、お互いに顔を見合わせて笑いを噛み殺した。
つづく…
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月絵は首を傾げた。
まだ男性経験こそないが、女友達の間では「耳年増の月絵」で通っていた。
それは幼い頃から、風俗店の並ぶ裏路地が遊び場だったからである。
むろん店の中で男と女が何をしているかまではわからなかったが、派手な看板に書かれた風俗用語や、裏路地を歩く女達のふしだらさは今も鮮明に覚えている。だが早熟な月絵も、さすがに乱交の看板を掲げる風俗店は記憶になかった。
女性雑誌のおかげで、性行為の意味は高校時代に勉強したものの、乱交について月絵は何の知識も持ち合わせていなかった。
「畠山さん、乱交ってどういうこと?」
「あ、いや・・ちょっとわからないなあ」
円らな黒い瞳で尋ねられた畠山の方が、却ってドギマギして口ごもった。
降矢木は二人を無視して続けた。
「風俗は男と女の一対一が基本となってきました。だが最近、あるジャンルの風俗がクローズアップされています」
「降矢木君、それはハプバーのことを言っているのかね?」
秋月は疑心暗鬼な表情で降矢木の顔色を窺った。
ハプバーへ行ったことがあるかと月絵が聞くと、また畠山は頬が千切れんばかりに首を横に振った。
「つ、つ、月絵ちゃん、僕はハプバーのハの字もわからないよ」
「あら、私だってハプバーぐらい知っていますよ。野毛二丁目にあるお店でしょう?」
おやっと意外そうな顔で降矢木が月絵を見た。
「ほう、月絵君はハプバーへ行ったことがあるのかね?」
「ううん、うちの若い者が話していたの。でも何のお店かしら・・バーだから飲み屋さんだろうけど、ハプって・・沖縄のハブを漬けた泡盛を飲ませるのかしら?」
降矢木と秋月は、お互いに顔を見合わせて笑いを噛み殺した。
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