『人外境の花嫁』一.異界の漂泊民(十)
『人外境の花嫁』
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一.異界の漂泊民 (十)
気がつくと、香具師仲間や村人の視線が少女の裸身へ注がれていた。
にやけた表情で舌なめずりする男達。
穢らわしいものでも見るように顔をしかめる女達。
だが好奇と軽蔑の目などどこ吹く風、一心不乱に少女はヨーヨーに集中している。
「あっ、釣れた!」
ヨーヨーを釣り上げた少女は、太古の巫女さながらに境内をくるくると舞い踊った。
可憐な膨らみが千切れんばかりに揺れる。
その頂を飾る乳暈は、もう大人びて薄小豆色に色づいているが、乳首はまだ童女と変わらず米粒ほどに小さかった。
少女は寛三へ頭を丁寧に下げた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
釣れなかった弟にそのヨーヨーを渡すと、姉弟は再び漆黒の影となって、山奥へ続く森の中に消えて行った。
まるで風のように。
呆気にとられた寛三は、くすっと小さく独り笑った。
(天衣無縫なのか・・)
南洋の裸族がそうであるように、少女は裸に対して羞恥がないのかもしれない。
日本人が守る生活規範から、少女は大きく食み出してしまっているのだろう。
少女は一体何者なのだろうか?
貧しい着物、未就学、定住する家もない。
だが屈託のない自由で無邪気な笑顔。
おそらく少女は、集落の人々とも相容れない異界の住人に違いない。
決して幼(よう)女趣味など持たぬ寛三だが、風と共に現れて消えた不思議の国の少女に、いつしか魅入られている自分を感じていた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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気がつくと、香具師仲間や村人の視線が少女の裸身へ注がれていた。
にやけた表情で舌なめずりする男達。
穢らわしいものでも見るように顔をしかめる女達。
だが好奇と軽蔑の目などどこ吹く風、一心不乱に少女はヨーヨーに集中している。
「あっ、釣れた!」
ヨーヨーを釣り上げた少女は、太古の巫女さながらに境内をくるくると舞い踊った。
可憐な膨らみが千切れんばかりに揺れる。
その頂を飾る乳暈は、もう大人びて薄小豆色に色づいているが、乳首はまだ童女と変わらず米粒ほどに小さかった。
少女は寛三へ頭を丁寧に下げた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
釣れなかった弟にそのヨーヨーを渡すと、姉弟は再び漆黒の影となって、山奥へ続く森の中に消えて行った。
まるで風のように。
呆気にとられた寛三は、くすっと小さく独り笑った。
(天衣無縫なのか・・)
南洋の裸族がそうであるように、少女は裸に対して羞恥がないのかもしれない。
日本人が守る生活規範から、少女は大きく食み出してしまっているのだろう。
少女は一体何者なのだろうか?
貧しい着物、未就学、定住する家もない。
だが屈託のない自由で無邪気な笑顔。
おそらく少女は、集落の人々とも相容れない異界の住人に違いない。
決して幼(よう)女趣味など持たぬ寛三だが、風と共に現れて消えた不思議の国の少女に、いつしか魅入られている自分を感じていた。
つづく…
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