『合 わ せ 鏡』 最終章
『合 わ せ 鏡』
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(十七 )
梅雨が明け、夏めく陽射しが眩しい季節を迎えた土曜日の朝。
リビングのソファで寝転んで、テレビを見ている智彦が大きな欠伸をした。
「折角二人で旅行でも行こうと思っていたのに、今週も仕事か…」
「ごめんね智くん。うちの新薬講演会が京都で開かれるの。私の担当ドクターがパネル・ディスカッションに参加するから、どうしても一緒に同行しなければならないのよ」
「まあ、仕事じゃ仕方ないよな。パチンコでもして暇潰すわ」
智彦はがっかりした顔で、再びテレビに目を遣った。
早紀は智彦に心の中で詫びながら、メイクをしに自分の部屋へ向かった。
早紀のアダミットの売上は飛躍的に倍増した。
課長は負けを認め、課長職を辞任すると申し出たが、早紀は逆に思い留まるよう説得した。
課長の進退など、もう早紀にはどうでもいいことだった。
ドレッサーの鏡に向かって、早紀は手鏡を取り出した。
合わせ鏡にして、首筋の後ろを見た。
野崎の糸切り歯が刺さった跡が、赤黒く小さな痣となっている。
「牝奴隷の刻印」
そう呟くと、背筋がぞくぞくと震え、下腹部がじんと痺れた。
早紀は野崎と京子の牝奴隷になった。
週一回は呼び出され、京子の舌技に喘ぎ、野崎の精液を注がれている。
たいていはホテルで抱かれるが、時には病院の院長室で犯されることもあった。
今朝も早紀は智彦には嘘をついていた。
これから早紀は野崎と京都に行く。もちろん京子も一緒だ。
野崎と京子は、早紀を金沢で会った医学界の大御所三人に貸し出す腹積もりでいる。
今夜、京都の静かな高級旅館の離れで、男四人、女二人の淫らな宴が催されるのだ。
メイクを済ませた早紀は、改めて鏡を合わせて首の刻印を見た。
赤黒い痣がわずかにずきんと疼いた。
了
皆様から頂くが小説を書く原動力です
「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る
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梅雨が明け、夏めく陽射しが眩しい季節を迎えた土曜日の朝。
リビングのソファで寝転んで、テレビを見ている智彦が大きな欠伸をした。
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「ごめんね智くん。うちの新薬講演会が京都で開かれるの。私の担当ドクターがパネル・ディスカッションに参加するから、どうしても一緒に同行しなければならないのよ」
「まあ、仕事じゃ仕方ないよな。パチンコでもして暇潰すわ」
智彦はがっかりした顔で、再びテレビに目を遣った。
早紀は智彦に心の中で詫びながら、メイクをしに自分の部屋へ向かった。
早紀のアダミットの売上は飛躍的に倍増した。
課長は負けを認め、課長職を辞任すると申し出たが、早紀は逆に思い留まるよう説得した。
課長の進退など、もう早紀にはどうでもいいことだった。
ドレッサーの鏡に向かって、早紀は手鏡を取り出した。
合わせ鏡にして、首筋の後ろを見た。
野崎の糸切り歯が刺さった跡が、赤黒く小さな痣となっている。
「牝奴隷の刻印」
そう呟くと、背筋がぞくぞくと震え、下腹部がじんと痺れた。
早紀は野崎と京子の牝奴隷になった。
週一回は呼び出され、京子の舌技に喘ぎ、野崎の精液を注がれている。
たいていはホテルで抱かれるが、時には病院の院長室で犯されることもあった。
今朝も早紀は智彦には嘘をついていた。
これから早紀は野崎と京都に行く。もちろん京子も一緒だ。
野崎と京子は、早紀を金沢で会った医学界の大御所三人に貸し出す腹積もりでいる。
今夜、京都の静かな高級旅館の離れで、男四人、女二人の淫らな宴が催されるのだ。
メイクを済ませた早紀は、改めて鏡を合わせて首の刻印を見た。
赤黒い痣がわずかにずきんと疼いた。
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