『闇に抱かれて』 第九章
『闇に抱かれて』
FC2 R18官能小説
(九)
深夜の倉庫街。
ヘッドライトが闇を鋭角に切り裂き、無人の廃墟と化した巨大な建物を照らし出す。
「もう本格的な冬の到来だ」
智彦はハンドルを操りながら、助手席にいる美也子に話しかけた。
だが美也子は何も答えず、どこか落ち着かない様子で体をもじもじさせている。
「おい」
「…え、あなた何か言った?」
「どうした?ぼんやりして」
「べ、別に、ぼんやりなんかしてないわ」
緑の蛍光色を放つエアコンのパネルが、美也子の顔を仄かに浮き上がらせている。
「何だ、トイレを我慢しているのか?」
「ち、違うわよ」
そう答えた美也子のはにかんだ表情に、智彦はすぐにその心中を察した。
「ははあ、これから始めることを想像して緊張しているんだな」
「バ、バカ…私はあなたの変態行為を嫌々つきあっているのよ」
美也子は心外そうにプンとふくれて見せたが、内心は図星を指されて明らかに動揺していた。
思えば、美彦を寝かせた後、普段ならパジャマに着替える美也子だが、今夜は赤いハイネックのセーターと、コーデュロイの膝下まであるスカートを穿いたままだった。
車は公園のある倉庫裏へ着いた。
「あっ、あなた人がいるわ!」
美也子は吃驚するような大きな声で、窓の外を指差した。
そこには公園の入り口にバイクを停め、ぽつんと街燈の下でテニスのラケットを振る人影があった。
赤星晶だ。
だがこれは偶然ではなく、智彦があらかじめメールで指示した計画だった。
美也子が野外で裸身を晒すことに、性的な興奮を覚えることは前回照明された。
次は晶に妻を抱かせる布石を打たなければならない。
それで今夜は、美也子に晶の存在を意識させながら、前回同様淫らな振る舞いができるかを試すつもりだった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
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深夜の倉庫街。
ヘッドライトが闇を鋭角に切り裂き、無人の廃墟と化した巨大な建物を照らし出す。
「もう本格的な冬の到来だ」
智彦はハンドルを操りながら、助手席にいる美也子に話しかけた。
だが美也子は何も答えず、どこか落ち着かない様子で体をもじもじさせている。
「おい」
「…え、あなた何か言った?」
「どうした?ぼんやりして」
「べ、別に、ぼんやりなんかしてないわ」
緑の蛍光色を放つエアコンのパネルが、美也子の顔を仄かに浮き上がらせている。
「何だ、トイレを我慢しているのか?」
「ち、違うわよ」
そう答えた美也子のはにかんだ表情に、智彦はすぐにその心中を察した。
「ははあ、これから始めることを想像して緊張しているんだな」
「バ、バカ…私はあなたの変態行為を嫌々つきあっているのよ」
美也子は心外そうにプンとふくれて見せたが、内心は図星を指されて明らかに動揺していた。
思えば、美彦を寝かせた後、普段ならパジャマに着替える美也子だが、今夜は赤いハイネックのセーターと、コーデュロイの膝下まであるスカートを穿いたままだった。
車は公園のある倉庫裏へ着いた。
「あっ、あなた人がいるわ!」
美也子は吃驚するような大きな声で、窓の外を指差した。
そこには公園の入り口にバイクを停め、ぽつんと街燈の下でテニスのラケットを振る人影があった。
赤星晶だ。
だがこれは偶然ではなく、智彦があらかじめメールで指示した計画だった。
美也子が野外で裸身を晒すことに、性的な興奮を覚えることは前回照明された。
次は晶に妻を抱かせる布石を打たなければならない。
それで今夜は、美也子に晶の存在を意識させながら、前回同様淫らな振る舞いができるかを試すつもりだった。
つづく…
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