『闇に抱かれて』 第三章
『闇に抱かれて』
FC2 R18官能小説
(三)
家から十分ほど走ると、幹線道路を外れて横浜港の埠頭へ続く道に入った。
車はオレンジ色の照明が夜空を焦がす埠頭を掠め、暗く殺風景な倉庫街へと進んで行く。
通行人はもとより行きかう車もない。
「ドライブにしては寂しいところね」
「たまには二人きりになれるところもいいだろう」
「二人きり?嫌だ、美彦が寝ればいつも二人きりじゃない。何か変よ…」
美也子は訝しげな顔をして呟いた。
倉庫街の裏手にこんもりとした木々が見えた。
無人の倉庫に囲まれた五百坪ほどの小さな公園だった。
周囲は人の背丈ぐらいの垣根に覆われ、街灯が四本ばかり心寂しく滑り台とブランコを照らしている。
「あら、住宅もないこんなところに公園があるわ」
「ほう、珍しいな。でも倉庫で働く人が、昼の弁当を食べるのには良さそうだな」
すでに何度か下見をしていたのだが、あたかも偶然を装うように驚き、智彦は、公園の入り口に近い暗がりの道に、助手席側を夾竹桃の垣根に接して車を停めた。
「…あなた?」
美也子の問いかけには答えず、智彦は気づかれないように周囲を確認した。
公園に人影はなかった。近くに停まっている車もない。
倉庫街なので道幅は広いが、裏通りに当たるため、まず他の車が通行する可能性も薄い。
また三百メートルほど走れば、幹線道路に通じており、もし暴走族が現れたとしても、すぐに逃げ出すことができる。
エンジンをかけたままの状態で、智彦はヘッドライトを消した。
社内は仄暗い闇に包まれた。
公園の明かりは垣根に遮られ、エアコンの操作パネルとオーディオだけが、冷たい緑の蛍光色を車内に燈していた。
智彦は再び煙草に火をつけた。
「こんなところで車を停めてどうするの?」
美也子は辺りを見回しながら、責めるような口調で聞いた。
闇の中、小さな緑の燈火が、不安そうな美也子の表情を浮かび上がらせている。
同時に、豊かな乳房が深い陰翳の中で緑の光りを浴び、柔らかなセーターを誇らしげに隆起させていた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
FC2 R18官能小説
(三)
家から十分ほど走ると、幹線道路を外れて横浜港の埠頭へ続く道に入った。
車はオレンジ色の照明が夜空を焦がす埠頭を掠め、暗く殺風景な倉庫街へと進んで行く。
通行人はもとより行きかう車もない。
「ドライブにしては寂しいところね」
「たまには二人きりになれるところもいいだろう」
「二人きり?嫌だ、美彦が寝ればいつも二人きりじゃない。何か変よ…」
美也子は訝しげな顔をして呟いた。
倉庫街の裏手にこんもりとした木々が見えた。
無人の倉庫に囲まれた五百坪ほどの小さな公園だった。
周囲は人の背丈ぐらいの垣根に覆われ、街灯が四本ばかり心寂しく滑り台とブランコを照らしている。
「あら、住宅もないこんなところに公園があるわ」
「ほう、珍しいな。でも倉庫で働く人が、昼の弁当を食べるのには良さそうだな」
すでに何度か下見をしていたのだが、あたかも偶然を装うように驚き、智彦は、公園の入り口に近い暗がりの道に、助手席側を夾竹桃の垣根に接して車を停めた。
「…あなた?」
美也子の問いかけには答えず、智彦は気づかれないように周囲を確認した。
公園に人影はなかった。近くに停まっている車もない。
倉庫街なので道幅は広いが、裏通りに当たるため、まず他の車が通行する可能性も薄い。
また三百メートルほど走れば、幹線道路に通じており、もし暴走族が現れたとしても、すぐに逃げ出すことができる。
エンジンをかけたままの状態で、智彦はヘッドライトを消した。
社内は仄暗い闇に包まれた。
公園の明かりは垣根に遮られ、エアコンの操作パネルとオーディオだけが、冷たい緑の蛍光色を車内に燈していた。
智彦は再び煙草に火をつけた。
「こんなところで車を停めてどうするの?」
美也子は辺りを見回しながら、責めるような口調で聞いた。
闇の中、小さな緑の燈火が、不安そうな美也子の表情を浮かび上がらせている。
同時に、豊かな乳房が深い陰翳の中で緑の光りを浴び、柔らかなセーターを誇らしげに隆起させていた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です