『女帝陥落の淫夜』(七)
『女帝陥落の淫夜』(七)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
一方恵美は、苦虫を噛み潰したような顔で反論を聞いていたが、堪忍袋の緒が切れたのか、突然バンと机を叩いて立ち上がった。
「揃いも揃って何を躊躇しているの? 競争が厳しいこの時代に、何も手を打たないで生き残れると思っているの?」
ヒステリックに恵美は叫んだ。
「社長、聞いて下さい。今の夢創社には・・」
いよいよ立川が応戦すべく立ち上がった。
だが恵美は、あえて立川との議論を避けて着席し、静かに目を瞑って役員達に語りかけた。
「東京進出は主人の夢でした。主人はその夢を皆に託して世を去りました。ここまで会社を育ててくれたのは主人です。残された私達にできる恩返しは、主人の夢を叶えることだけです」
役員は全員口を噤み、壁に掲げられた由紀夫の遺影を見上げた。
フォーク歌手のように髭を蓄えた由紀夫が、温厚な瞳で静まり返った役員室を見守っている。
恵美は再び口を開いた。
「皆この投資に賛成してくれるわね?」
「・・はい」
顔面を蒼白にした役員達は、突然態度を翻して恵美の前に屈した。
旗振り役の立川も黙って俯くばかりだった。
役員たちの豹変に康平は唖然とした。
だがこうして役員会は終了し、地域スーパー夢創社の東京進出は可決されたのだった。
役員会終了後、康平は立川に誘われて近くの定食屋へ昼食に出かけた。
「室長、どうして役員達はあそこで腰砕けになってしまったんですか?」
焼き魚定食を食べながら康平は憤りをぶちまけてみた。
「恵美社長が思ったよりも強かで、我々よりも一枚上手だったからだよ」
白髪頭を掻きながら、立川は反対派の敗因を分析した。
「まさかあそこで先代社長の夢を持ち出してくるとはなあ」
つづく…
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「揃いも揃って何を躊躇しているの? 競争が厳しいこの時代に、何も手を打たないで生き残れると思っているの?」
ヒステリックに恵美は叫んだ。
「社長、聞いて下さい。今の夢創社には・・」
いよいよ立川が応戦すべく立ち上がった。
だが恵美は、あえて立川との議論を避けて着席し、静かに目を瞑って役員達に語りかけた。
「東京進出は主人の夢でした。主人はその夢を皆に託して世を去りました。ここまで会社を育ててくれたのは主人です。残された私達にできる恩返しは、主人の夢を叶えることだけです」
役員は全員口を噤み、壁に掲げられた由紀夫の遺影を見上げた。
フォーク歌手のように髭を蓄えた由紀夫が、温厚な瞳で静まり返った役員室を見守っている。
恵美は再び口を開いた。
「皆この投資に賛成してくれるわね?」
「・・はい」
顔面を蒼白にした役員達は、突然態度を翻して恵美の前に屈した。
旗振り役の立川も黙って俯くばかりだった。
役員たちの豹変に康平は唖然とした。
だがこうして役員会は終了し、地域スーパー夢創社の東京進出は可決されたのだった。
役員会終了後、康平は立川に誘われて近くの定食屋へ昼食に出かけた。
「室長、どうして役員達はあそこで腰砕けになってしまったんですか?」
焼き魚定食を食べながら康平は憤りをぶちまけてみた。
「恵美社長が思ったよりも強かで、我々よりも一枚上手だったからだよ」
白髪頭を掻きながら、立川は反対派の敗因を分析した。
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