『心の闇』降矢木シリーズ 第三弾 都市型温泉考(その3)
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『心の闇』降矢木シリーズ 第三弾 都市型温泉考(その3)
降矢木士朗
月絵と洞窟風呂へ行くと、その薄暗い中で若いカップルが抱き合って湯に浸かっていました。
男が女の体を背後から抱きかかえるようにしています。
そういう場面に突然出くわすと、却ってその場から急いで離れにくいものです。
私は興味津々なのですが、月絵はどういう態度を取ったらいいのかわからず、目線があちこちに泳いで落ち着きません。
そこへ太り気味の男性がやってきて、カップルの近くで一人湯に入ってくつろぎ始めたのです。
「先生?」
「しっ、黙って観察していたまえ・・覗きだよ」
男女水着混浴の露店風呂ですから家族やカップルが多いのは自然ですが、男性一人というのは誰が考えても不自然な感じが拭えません。
彼はじっとカップルが入っているお湯の中を見つめています。
そうです。ここは覗き単独さんのメッカなのです。
女性の水着姿やカップルの痴態を、一年中、咎められることなく堂々と覗けるわけです。
畠山君の情報によると、露出や乱交を目的にしたカップルも多く、こうした単独さんが声をかけられたりすることもあるそうです。
「先生、もうのぼせちゃいそう・・・」
顔を真っ赤にした月絵は、居た堪れなくなって私に別の風呂へ誘いました。
次に入ったのは、比較的大きな唯一源泉(海水?)の風呂です。
比較的オープンな浴槽で、カップルや家族連れがのんびり湯に浸かっています。
月絵が豊かな胸に手を当てて言いました。
「ああ、吃驚しちゃった。覗きの人がいるなんて」
「物事の意味は決して一つとは限らないのだよ」
一つの温泉施設があると、湯を純粋に楽しむ人もいれば、違う目的を楽しむ人も集まってくるのです。
そんな話をしているところへ、また変な人が風呂へ入りに来ました。
四十代ぐらいでしょうか、異様に鍛えられた筋肉質な体躯の男性です。
しかも穿いているMY水着がブカブカで、明らかに立派な逸物が勃起しているのがわかります。
歩くとテントの支柱が大きく揺れ、まるで誰かに見せつけているような感じです。
「・・何あれ?」
月絵は慌てて眼を逸らして私の耳に囁きました。
彼は湯船に浸かると、カップルで来ている若い男性をじっと見つめ始めました。
その男性は、愛らしいアイドルチックな顔立ちで、肌の白いどこか女性的な体を曝しています。
「ホモ系かな・・・」
「・・先生、ここはハッテン場でもあるんですね」
確かに水着の女性や男性がいれば、覗きもホモも集まってくるでしょう。
別目的の人が、ほのぼのと温泉を楽しむ家族の隣に潜んでいるのです。
つまり、日常世界のパラレルな位置に、変態性欲世界はしっかりと存在しているわけです。
その人外境を認識できる人は、おそらくごく一部の霊能者だけなのかもしれません。
帰りがけに月絵はしみじみ私に語りかてきました。
「いつも先生と一緒にいるせいで、私も向こう側の世界が段々と見えるようになってきました」
「月絵君は早くもイタコ婆の仲間入りか?」
その刹那、目から火花が飛び散り、頬に熱い痛みを感じたのでした。
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月絵と洞窟風呂へ行くと、その薄暗い中で若いカップルが抱き合って湯に浸かっていました。
男が女の体を背後から抱きかかえるようにしています。
そういう場面に突然出くわすと、却ってその場から急いで離れにくいものです。
私は興味津々なのですが、月絵はどういう態度を取ったらいいのかわからず、目線があちこちに泳いで落ち着きません。
そこへ太り気味の男性がやってきて、カップルの近くで一人湯に入ってくつろぎ始めたのです。
「先生?」
「しっ、黙って観察していたまえ・・覗きだよ」
男女水着混浴の露店風呂ですから家族やカップルが多いのは自然ですが、男性一人というのは誰が考えても不自然な感じが拭えません。
彼はじっとカップルが入っているお湯の中を見つめています。
そうです。ここは覗き単独さんのメッカなのです。
女性の水着姿やカップルの痴態を、一年中、咎められることなく堂々と覗けるわけです。
畠山君の情報によると、露出や乱交を目的にしたカップルも多く、こうした単独さんが声をかけられたりすることもあるそうです。
「先生、もうのぼせちゃいそう・・・」
顔を真っ赤にした月絵は、居た堪れなくなって私に別の風呂へ誘いました。
次に入ったのは、比較的大きな唯一源泉(海水?)の風呂です。
比較的オープンな浴槽で、カップルや家族連れがのんびり湯に浸かっています。
月絵が豊かな胸に手を当てて言いました。
「ああ、吃驚しちゃった。覗きの人がいるなんて」
「物事の意味は決して一つとは限らないのだよ」
一つの温泉施設があると、湯を純粋に楽しむ人もいれば、違う目的を楽しむ人も集まってくるのです。
そんな話をしているところへ、また変な人が風呂へ入りに来ました。
四十代ぐらいでしょうか、異様に鍛えられた筋肉質な体躯の男性です。
しかも穿いているMY水着がブカブカで、明らかに立派な逸物が勃起しているのがわかります。
歩くとテントの支柱が大きく揺れ、まるで誰かに見せつけているような感じです。
「・・何あれ?」
月絵は慌てて眼を逸らして私の耳に囁きました。
彼は湯船に浸かると、カップルで来ている若い男性をじっと見つめ始めました。
その男性は、愛らしいアイドルチックな顔立ちで、肌の白いどこか女性的な体を曝しています。
「ホモ系かな・・・」
「・・先生、ここはハッテン場でもあるんですね」
確かに水着の女性や男性がいれば、覗きもホモも集まってくるでしょう。
別目的の人が、ほのぼのと温泉を楽しむ家族の隣に潜んでいるのです。
つまり、日常世界のパラレルな位置に、変態性欲世界はしっかりと存在しているわけです。
その人外境を認識できる人は、おそらくごく一部の霊能者だけなのかもしれません。
帰りがけに月絵はしみじみ私に語りかてきました。
「いつも先生と一緒にいるせいで、私も向こう側の世界が段々と見えるようになってきました」
「月絵君は早くもイタコ婆の仲間入りか?」
その刹那、目から火花が飛び散り、頬に熱い痛みを感じたのでした。
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