『あやかしの肌』・・・第二十二章
『あやかしの肌』
第二十二章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
美千代は悪女だった。
男を虜にする肌の魅惑を、美千代は十二分に知っていた。
大店の隠居に近づいたのも、元から手切れ金をせしめるのが目的だった。
隠居だけではない。
その美肌を武器に、芸者時代から数多の男達を手玉にとってきたらしい。
それは辰二にも例外ではなかった。
美千代は肉欲を満たしてもらいながらも、染みついた習性で、軌道に乗らない店の資金援助を辰二にねだった。
むろん辰二にも、堅気の男が扱える女でないことはわかっていた。
だが魔肌には逆らえなかった。
月々の給金もとより、十五年こつこつ貯めた銭湯の開業資金も、美千代のために貢ぎ果たしていた。
美千代が怜悧な目で辰二を睨みつけた。
「ほら、ぐずぐずしなさんな。あたしはヒモを養えるほど金持ちじゃないんだからさ」
「・・実は」
「どうしたのさ」
「銭湯を辞めてきたんだ・・」
辰二が気まり悪そうに呟くと、美千代は夜叉のような表情で振り向いた。
昨日。
久しぶりに竹の湯に立ち寄ると、主人の盛吉が鬼のような顔で立ちはだかった。
「タツ、お前最近仕事に身が入っていないみたいだな」
「い、いえ、そんなことは・・」
口では否定したが、辰二はこの一カ月で十日も休みをとっていた。
夜明けまで続く美千代との情事が原因だった。
仕事へ出ても釜場でぼんやりすることが多く、湯の温度が低いと客から苦情が殺到した。
「質の悪い女とつきあっているらしいな。裏通りの美千代だって聞いているぜ」
「・・はあ」
つづく・・・
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男を虜にする肌の魅惑を、美千代は十二分に知っていた。
大店の隠居に近づいたのも、元から手切れ金をせしめるのが目的だった。
隠居だけではない。
その美肌を武器に、芸者時代から数多の男達を手玉にとってきたらしい。
それは辰二にも例外ではなかった。
美千代は肉欲を満たしてもらいながらも、染みついた習性で、軌道に乗らない店の資金援助を辰二にねだった。
むろん辰二にも、堅気の男が扱える女でないことはわかっていた。
だが魔肌には逆らえなかった。
月々の給金もとより、十五年こつこつ貯めた銭湯の開業資金も、美千代のために貢ぎ果たしていた。
美千代が怜悧な目で辰二を睨みつけた。
「ほら、ぐずぐずしなさんな。あたしはヒモを養えるほど金持ちじゃないんだからさ」
「・・実は」
「どうしたのさ」
「銭湯を辞めてきたんだ・・」
辰二が気まり悪そうに呟くと、美千代は夜叉のような表情で振り向いた。
昨日。
久しぶりに竹の湯に立ち寄ると、主人の盛吉が鬼のような顔で立ちはだかった。
「タツ、お前最近仕事に身が入っていないみたいだな」
「い、いえ、そんなことは・・」
口では否定したが、辰二はこの一カ月で十日も休みをとっていた。
夜明けまで続く美千代との情事が原因だった。
仕事へ出ても釜場でぼんやりすることが多く、湯の温度が低いと客から苦情が殺到した。
「質の悪い女とつきあっているらしいな。裏通りの美千代だって聞いているぜ」
「・・はあ」
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