『君が残してくれた言葉』
『君が残してくれた言葉』
ボコ、今夜はいい月夜だよ。ほら、月の光で君と僕の影が並んで歩いていく・・疲れたからそろそろ家に帰ろうか? え、まだ帰りたくないって? わがままな犬だな。何っ、飼い主に似たんだって? まあ、それは否定できないけどなあ・・思えばこうして雨の日も風の日も、君と散歩しながら言葉を交わしてきたんだね。表情や所作、鳴き方を組み合わせて、君は僕に言葉を伝えてくれていた。
ゴールデン・レトリバーの愛犬ボコよ。
おやつが欲しい時は、円らな瞳を潤ませて甘えるような鼻声でクンクンと訴える。悪戯して怒られた時は、気まずそうに上目遣いでク~ンと謝る。褒められて嬉しい時は、尻尾を千切れんばかりに振って頭を擦り寄せてくる。そう、散歩に連れて行って欲しい時、お気に入りの玩具を取り上げられた時、我慢できずウンチをしてしまった時・・君が話してくれた言葉は今も全部覚えているよ。
いつかこの日が来るのはわかっていた。でも君がいなくなるなんて信じたくなかった。
もっと一緒に話していたかったよ・・夜風に乗って金木犀の香がするね。雪が積もって足が冷たいよ。後ろから車が来るから気をつけて。暑いから川で水遊びしたいなあ・・そんな他愛もない言葉のやりとりが、仕事で疲れた僕の心を癒してくれていたんだね。
息を引き取る数日前から、君は動くことも鳴くこともできないほど衰弱していた。
でも君が天国へ旅立った明け方、僕はベッドの中で、ワン、ワン、と二度吠えるのを聞いたよ。夢じゃない。慌てて飛び起きて駆けつけると、君は苦しみもなく、安らかで、笑っているような表情で冷たくなっていた。きっと君は旅立つ前に、僕のところへ話をしに来てくれたんだよね。
・・ずっと一緒にいてくれてありがとう。とっても僕は幸せだったよ。・・
それが最期に残してくれた君の言葉だと信じていいよね、ボコ。
ボコ、今夜はいい月夜だよ。ほら、月の光で君と僕の影が並んで歩いていく・・疲れたからそろそろ家に帰ろうか? え、まだ帰りたくないって? わがままな犬だな。何っ、飼い主に似たんだって? まあ、それは否定できないけどなあ・・思えばこうして雨の日も風の日も、君と散歩しながら言葉を交わしてきたんだね。表情や所作、鳴き方を組み合わせて、君は僕に言葉を伝えてくれていた。
ゴールデン・レトリバーの愛犬ボコよ。
おやつが欲しい時は、円らな瞳を潤ませて甘えるような鼻声でクンクンと訴える。悪戯して怒られた時は、気まずそうに上目遣いでク~ンと謝る。褒められて嬉しい時は、尻尾を千切れんばかりに振って頭を擦り寄せてくる。そう、散歩に連れて行って欲しい時、お気に入りの玩具を取り上げられた時、我慢できずウンチをしてしまった時・・君が話してくれた言葉は今も全部覚えているよ。
いつかこの日が来るのはわかっていた。でも君がいなくなるなんて信じたくなかった。
もっと一緒に話していたかったよ・・夜風に乗って金木犀の香がするね。雪が積もって足が冷たいよ。後ろから車が来るから気をつけて。暑いから川で水遊びしたいなあ・・そんな他愛もない言葉のやりとりが、仕事で疲れた僕の心を癒してくれていたんだね。
息を引き取る数日前から、君は動くことも鳴くこともできないほど衰弱していた。
でも君が天国へ旅立った明け方、僕はベッドの中で、ワン、ワン、と二度吠えるのを聞いたよ。夢じゃない。慌てて飛び起きて駆けつけると、君は苦しみもなく、安らかで、笑っているような表情で冷たくなっていた。きっと君は旅立つ前に、僕のところへ話をしに来てくれたんだよね。
・・ずっと一緒にいてくれてありがとう。とっても僕は幸せだったよ。・・
それが最期に残してくれた君の言葉だと信じていいよね、ボコ。