『マネキン妻の懊悩』(二十三)
『マネキン妻の懊悩』(二十三)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
二十三
仄暗い夫婦の寝室。
コンドームに精を放った一樹は、まだ呼吸を荒げたまま、ベッドの上で大の字に寝転んだ。
「美咲、お前は最近激し過ぎないか?」
「そうかしら」
美咲は裸身をバスローブに包むと、枕元に置かれたワインで喉を潤した。
「体が感じやすくなったのかな・・下着を脱がせただけで喘ぎ始めるし・・」
「うふふ、感じすぎる妻は嫌い?」
「いや、それはそれでいいんだけど・・」
他愛の無い夫婦の会話は、一樹の眠りとともに途絶えた。
美咲は小さく吐息をついた。
確かに一樹とのセックスで、かつてないほど美咲の体は鋭敏に感応するようになっていた。
(これも先生のお蔭かしら)
ワインを口に含んだまま、美咲はふふっと小さな微笑を浮かべた。
美咲は受付から内勤事務へ職種変更した。
もう受付を続ける必要はなかった。
何故なら週に一度は、山田がイヴの淫欲を満たしてくれるからだ。
官能小説家の妄想は留まるところを知らない。
ハプニング・バー『猫目石』の常連であるのはもちろん、二人はカップル喫茶へも足を延ばすようになっていた。
屋内プレイに飽き足らず、蚊が煩わしい夏の公園で、覗きの男達を前に裸身を晒したこともあった。
先週も、高速道路を走る車の中で全裸になり、料金所のオジサンを吃驚させたりもした。
今や淫らなイヴは、心の裏側に潜む別人格ではなく、美咲自身になっていた。
もし山田がアダムならば、それは美咲にとっても、唯一絶対の主人であることを意味していた。
だから一樹とのセックスは、他人に犯されているようなものだった。主人である山田を裏切る後ろめたさが、美咲の体に新たな淫欲を生み出しているのだ。
イヴの淫欲に終わりはない。
美咲は山田の前で他人に犯される自分を妄想して、そっと寝室から浴室へと足を忍ばせた。
――閉幕――
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「美咲、お前は最近激し過ぎないか?」
「そうかしら」
美咲は裸身をバスローブに包むと、枕元に置かれたワインで喉を潤した。
「体が感じやすくなったのかな・・下着を脱がせただけで喘ぎ始めるし・・」
「うふふ、感じすぎる妻は嫌い?」
「いや、それはそれでいいんだけど・・」
他愛の無い夫婦の会話は、一樹の眠りとともに途絶えた。
美咲は小さく吐息をついた。
確かに一樹とのセックスで、かつてないほど美咲の体は鋭敏に感応するようになっていた。
(これも先生のお蔭かしら)
ワインを口に含んだまま、美咲はふふっと小さな微笑を浮かべた。
美咲は受付から内勤事務へ職種変更した。
もう受付を続ける必要はなかった。
何故なら週に一度は、山田がイヴの淫欲を満たしてくれるからだ。
官能小説家の妄想は留まるところを知らない。
ハプニング・バー『猫目石』の常連であるのはもちろん、二人はカップル喫茶へも足を延ばすようになっていた。
屋内プレイに飽き足らず、蚊が煩わしい夏の公園で、覗きの男達を前に裸身を晒したこともあった。
先週も、高速道路を走る車の中で全裸になり、料金所のオジサンを吃驚させたりもした。
今や淫らなイヴは、心の裏側に潜む別人格ではなく、美咲自身になっていた。
もし山田がアダムならば、それは美咲にとっても、唯一絶対の主人であることを意味していた。
だから一樹とのセックスは、他人に犯されているようなものだった。主人である山田を裏切る後ろめたさが、美咲の体に新たな淫欲を生み出しているのだ。
イヴの淫欲に終わりはない。
美咲は山田の前で他人に犯される自分を妄想して、そっと寝室から浴室へと足を忍ばせた。
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